SHISEIJOHO市民病院と地域医療に関する市政情報[新聞社説]産科医不足神奈川新聞(2010/5/15)
神奈川新聞は、横須賀市内2つの総合病院での分娩休止について社説を発表しました。以下、全文を引用します。
“お産難民”解消努力を 横須賀市内の2総合病院が今秋以降、相次いで分娩(ぶんべん)を休止する。近隣市町の妊婦も利用しているだけに三浦半島全体への影響も大きい。関係する医療機関が連携し合い、一人でも多くの妊婦がスムーズに出産できる環境づくりを望みたい。 横須賀市内では2004年度に5総合病院と4診療所、1助産所が分娩を扱っていた。その後、診療所と助産所の数は変わっていないが、総合病院は3施設に減少。それが今年10月以降は横須賀共済病院と市立市民病院が担当医の不在で扱わなくなり、総合病院は11月から市立うわまち病院1カ所だけとなる。 共済病院は市内最多の出産件数を誇ってきた上、三浦半島の中核病院として高度な医療管理が必要なリスクの高い分娩に対応してきている。緊急時に妊婦を「たらい回し」するような最悪の事態を避けるためにも、同病院の役割は大きい。 また、市民病院は三浦半島の西部に位置し、隣接の三浦市や葉山町の妊婦の利用も多いとみられている。両病院での出産件数は08年度、横須賀市内で扱った全体(2774件)の半数近くを占めた。共済病院は来年4月からの再開を目指しているものの、両病院の分娩休止はまさに危機的状況といえる。 安心して出産できる環境が整っているかどうかは、出産を控えた家族の住まい選びも左右する。横須賀市の出生数が減少傾向を続けていることもお産環境の悪化が一因とみられる。人口減のペースを抑えるためにも行政は、市外でお産を余儀なくされたり、お産場所が見つからない「お産難民」となったりする人をできるだけ減らす努力をしなければならない。 とはいえ深刻な産科医不足は三浦半島だけの問題ではない。県内の分娩取扱施設は08年度が164施設で、03年度より1割近く減った。過酷な労働条件と訴訟の多さなどがネックとなり、敬遠されているようだ。これらの課題を解決し、魅力ある職場にすることが必要だが、それには時間を要する。 まず必要なのは、厳しい現状の中でも病院や診療所、助産所が協力し合って改善策を考えることである。例えば妊婦健診は診療所に任せ、設備の整った総合病院は分娩専門にして取扱件数を増やしたらどうか。行政も支援しながら、出産環境の改善に知恵を絞ってほしい。 [新聞報道]横須賀市立市民病院神奈川新聞(2010/4/1)
神奈川新聞は、「指定管理者に引き継ぎ式、人材流出 厳しい船出」と市民病院問題を報道しました。
[論説]横須賀で赤ちゃんが生めない危機
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